Kerux

AMLフィルタリング/ネームスクリーニングライブラリです。既存システムに組み込んでご使用いただけます。

あいまい性を考慮した高速な人物照合が可能に

Keruxは、人物名称の照合が行えるネームスクリーニングライブラリです。お客様社内のシステムへのスピーディな導入が可能です。

膨大な顧客リストと反社会勢力リストとのあいまい照合を実現し、AML(マネーロンダリング対策)/CFT(テロ資金供与対策)分野での業務効率化とリスク軽減を支援します。主に金融、証券、不動産業界を中心に、コンプライアンス部門や犯罪対策部門向けに開発された高性能な照合アルゴリズムを備えています

このような方におすすめ

  • 金融・証券・不動産・クレジットカードなど、AML/CFT対策が求められる企業
  • 数千〜数百万件規模の顧客リスト・取引データを扱う企業
  • 国内外の規制に対応しつつ、正確かつ高速な人物照合を求める企業
  • 従来のAMLフィルタリング製品のコストや抽出条件に課題を感じている企業
  • 既存システムをそのままに、新たな照合機能を追加したい企業

特長

大規模データを高速で照合

リスト照合を瞬時に完了し、迅速かつ正確な結果を提供します。大量の人物名称データを照合する場合も、多数の公的リストや独自リスト(日本人/外国人名称)に対応可能です。

1,000万件の顧客データと100万件のリストを照合するような大規模処理にも対応しており、実際の運用においても高い処理能力を発揮しています。このため、金融機関のように大量のデータを扱う現場でも問題なく利用可能です。

また、データ量に比例したスケーラブルな処理速度を実現しており、大規模な照合作業でもシステムへの負荷を最小限に抑えられます。

Keruxライブラリを用いたWebアプリケーション構成図、ユーザー、画面アプリ、ビジネスロジック、照合ライブラリ、データベースとの関係を示す。

複数のアルゴリズムに対応。あいまい性を考慮した照合を実現

複数の照合アルゴリズムを搭載しており、目的に応じた適切な照合方法を選択できます。これにより、音韻系の類似度や表記ゆれなど特殊な条件にも対応でき、柔軟な結果取得が可能です。ヒット件数を適切に絞り込みつつ、業務の迅速化にも貢献します。

以下は対応可能なスコアリングアルゴリズムの一例です。記載のない形式にも柔軟に対応できますので、お気軽にご相談ください。

スコアリングアルゴリズム例
【文字列比較系】
・FME(完全一致)

【編集距離系】
・LSE (レーベンシュタイン距離の拡張)
・NGE(n-gram登場頻度+隣接文字順序)
・JWE(ジャロ・ウィンクラー類似度、登場文字一致度+先頭文字列一致度)

【音韻系】
・PNE(Phonex、音韻的同一視 )
※ その他、新規アルゴリズム追加/システム連携方法にも相談・対応

多様な照合リストに対応し、業界問わずリスク管理を支援

Keruxは、AML/CFT分野だけでなく、お客様独自の謝絶リストの確認や利益相反を確認する株主チェックとしても活用いただけます。ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、カジノ事業者、宅地建物取引業者など、業界に限らず取引先や関係者を正確に照合し、お客様のリスク回避を支援します。

お客様による以下のような利用実績例があります。

用途照合リスト例
要人チェック・PEPsリスト(海外要人リスト(Dow Jones社)、外国PEPsリスト(JCIF))
反社会的勢力・犯罪防止・全銀協提供リスト(個人・法人の反社リスト、生保・損保リスト)
・公益財団法人・暴力団追放運動推進都民センターリスト(暴追センター公表リスト)
・警察庁リスト(凍結口座名義人リスト(個人・法人)、不正送金口座リスト)
制裁・資産凍結対応・資産凍結者名義リスト(経済制裁対象者リスト、国連安保理決議対象者、財務省提供)
・各種制裁リスト(UK制裁リスト、EU制裁リスト、OFAC制裁リスト)
取引・信用リスク管理・各行独自リスト(株主リスト、忌避リスト、その他独自リスト)
・SIリスト(特定業種向け信用リスト)
・ネガティブ情報リスト(個人・法人の信用低評価情報)

多様な利用環境とシンプルな構成で、既存システムにすぐ連携

Keruxは、ローカルPC、サーバ上の仮想環境、クラウドなど、幅広い環境で利用可能です。特定のシステム要件に縛られず、柔軟に導入できます。 また、バッチ処理とリアルタイム処理の両方に対応した2つの利用モードを提供しているため、用途に応じて選択いただけます。

既存システムとの連携を考慮したAPIサンプルも用意しており、構成もシンプルなため、スムーズな接続が可能です。

シンプルな料金体系

Keruxの特長のひとつは、コストを抑えながらも高性能な照合システムを導入できる点です。AMLフィルタリング製品は海外製が多く、従量課金制が一般的なため、利用規模が大きくなるほどコストが膨らむ傾向にあります。これに対し、Keruxは定額料金制を採用し、アカウント数に関わらず1システム=1ライセンスのシンプルな価格体系を提供しています。

システム規模に応じた段階的な料金設計により、従来の他社製品と比べ、コスト半減を実現している事例もあります。

国内利用実績No.1。高い透明性と信頼性

導入実績は国内480社以上、国内No.1の実績があります。国内の大手金融機関でも多数導入されており、厳しい基準の各種監査もクリアする高い信頼性を誇ります。

また、内部処理の透明性が高く、アルゴリズムからコーディングまでの詳細な技術情報も提供可能です。これにより、導入企業はシステムの照合基準や判定ロジックを正確に把握でき、社内のリスク管理部門や監査機関へスムーズに連携できます。

導入までの流れ

システム導入までの6ステップを示すフロー図、各工程とアイコン付きで説明。

1.初期ヒアリング・プロダクト概要の把握

導入の第一段階として、お客様の課題や要件を整理し、Keruxの適用可能性を検討します。プロダクト概要資料も共有し、プロダクトへの理解を深めていただきます。

あわせて、最適な導入シナリオを検討するために以下の情報をヒアリングさせていただきます。この段階ではNDA(秘密保持契約)を締結しますのでご安心ください。

  • ※このフェーズは営業フェーズのため費用は発生しません。

主なヒアリング内容

  • 照合対象データの規模(顧客リストの件数、取引件数など)や頻度
  • 既存システムの構成(データベースの種類、APIの有無、外部連携の要否)
  • 社内でのAML対応の目的や運用ルール、利用部門などの体制
  • 現在利用しているフィルタリング手法や課題

2.試用ライセンス契約の締結・初期計画

初期ヒアリングを基に、Keruxの導入可否を検討するための試用ライセンス契約を締結します。試用ライセンスを通じて、実際の環境での動作確認を行います。また、プロジェクト計画テンプレートや初期実施スケジュール案を共有し、導入計画を具体化していきます。

提供内容

  • プロダクト仕様ドキュメント
  • サンプルコード
  • 動作確認用アプリケーション
  • プロジェクト計画テンプレート・初期スケジュール案

導入時のご注意

Keruxの導入時には、既存システムとの統合に向けた改修が必要となる場合があります。また、用途によっては照合結果の調整や追加フィルタリングが発生する可能性もあります。

そのため、導入にあたっては業務フローや運用体制を考慮し、適切な導入計画を策定することが重要です。当社ではAMLフィルタリングパッケージを長年販売してきた知見を活かし、必要に応じて最適な導入方法のご提案も可能です。

3.試験環境の構築・動作検証

試用ライセンス契約締結後、実環境での検証を行うための試験環境を構築します。性能評価の基準などが記載された資料を基に、照合対象データのテストやパフォーマンスを評価いただきます。

提供する動作確認用アプリケーションには、本番環境と同等の照合ライブラリを搭載しています。単なる動作可否の確認だけでなく、実際の環境での処理速度や実在データを用いた出力結果を検証いただけます。合わせて、FAQ集や検証ポイントリストなども共有します。

実施内容

  • 照合対象データを用いたテスト(動作の正確性・パフォーマンス評価)
  • システム要件との適合性確認(OS・ミドルウェアとの互換性など)
  • サーバースペックと処理時間の測定(対象データ量に応じた評価)

動作検証時の環境仕様(参考)

オンプレミス環境例

※基本的にはこちらを使用して検証します。

項目詳細
OS名Microsoft Windows Server 2012 R2 Standard
バージョン6.3.9600 ビルド 9600
OS 製造元Microsoft Corporation
システム製造元Supermicro
システムモデルSYS-7038A-I
システムの種類x64-ベース PC
プロセッサIntel(R) Xeon(R) CPU E5-2687W v4 @ 3.00GHz, 3001 Mhz, 12個のコア, 24個のロジカル プロセッサ
Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2687W v4 @ 3.00GHz, 3001 Mhz, 12個のコア, 24個のロジカル プロセッサ
BIOS バージョン/日付American Megatrends Inc. 2.0a, 2016/11/09
BIOS モードレガシー
BaseBoard メーカーSupermicro
プラットフォームの役割ワークステーション
インストール済みの物理メモリ(RAM)64.0 GB
クラウド環境例

※要件に応じて変更可能です。

項目詳細
OS名Amazon Linux 2023
インスタンスタイプc5.12xlarge
vCPU48
メモリ(GiB)96

4.本ライセンス契約と支援内容の確定

動作検証が完了後、ライセンス契約および支援内容の最終確定を行います。支援内容確定までの流れは以下の順で進めます。

1:ライセンス契約の締結

動作検証を受け、ライセンスの本契約を締結します。

2:料金体系の提示

導入規模に応じた料金の試算は契約前にご提示します。この段階では、試用ライセンスでのテスト実施後の、処理データや運用要件に基づき、より適正な料金を見積もります。

3:コスト・サポート内容の確定

導入にかかるコストやサポート範囲を最終確定します。内容が確定次第すぐに正式提供が開始されます。

4:追加支援の検討

導入時の技術サポートやカスタマイズ対応も可能です。企業ごとの環境や課題に応じて最適な支援を提案しますので、必要に応じてご相談ください。

5.プロダクトの組み込みと最終調整

ライセンス契約締結後、本番環境への統合を進めます。お客様がシステムの実装を進めるにあたって、技術アドバイスやサンプルコードを提供し、円滑に組み込みできるようにサポートします。

また、システム環境や要件に応じた照合条件の最適化についても、必要に応じてご相談いただけます。参考として一例を紹介します。

  • お客様はサンプルコードを活用し、システムに組み込み
    ・環境準備・動作確認
    ・照合要求部分の設計・開発・実装
    ・照合動作確認、制御機能の設計・開発・実装
    ・照合条件・照合結果管理機能の設計・開発・実装
    ・運用フローに合わせた追加実装・改修
    ・照合条件の最適化 など
  • 当社は統合に関する技術的アドバイスを提供
  • 統合テスト時の留意点を共有

6.システムリリースと運用サポート

システムの導入が完了すると、お客様側で運用を開始し、照合結果を活用した業務の最適化を進めていただきます。運用はお客様主体で行いますが、必要に応じてデータ分析や評価サポートの提供も可能です。お気軽にご相談ください。

運用開始後のサポート

  • 利用状況や有効性の外部評価
  • 運用・照合条件の修正・更新
  • 将来的な規制変更への対応
  • お客様からお問い合わせ対応
  • 既存システムそのままに、高度なあいまい照合を実現

    業種
    金融系ITサービス
    相談部署
    IT部門
    企業形態
    法人(システムベンダー)
    想定システム利用企業数
    約150社
    実施期間
    2023年4月~2023年7月
    Kerux導入事例

    ご支援内容

    相談背景
    • 既存のAMLフィルタリングシステムにあいまい照合機能がない
    • 既存システムのUIや操作感は変えたくない
    • 既存サーバーをそのまま使用したい
    • 今後の当局監査でアルゴリズムの質問などに回答できるか不安
    提案内容
    • 現行システム内への「Kerux」の追加導入として以下を提案
    • あいまい照合アルゴリズム
    • 組み込み作業時の技術支援
    • アルゴリズム選定や閾値設定に関する知見提供
    結果
    • 既存システムのUIや使用サーバーはそのままに、あいまい照合が利用可能に
    • Keruxが組み込まれたシステムは、現在約150社で稼働中
    • 当局監督・検査時に、明確な照合基準や判定根拠が説明可能に

    担当者

    渡邊 英樹

    デジタルソリューション&コンサルティング事業部 事業部長

    渡邊 英樹

    会社全体の強みを最大限に引き出すため、部門やプロジェクトを横断した全体最適の視点で業務に取り組んでいる。各部のリソースや専門性を効果的に組み合わせることで、組織としての価値提供力を高めることを重視。特に情報セキュリティ対策に注力しており、社内体制の整備や運用管理を通じて、安心してサービスを提供できる環境づくりを推進している。

    寺島 拓

    AMLソリューション開発部 システムエンジニア / 博士(科学)

    寺島 拓

    東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻を修了後、株式会社リネアに入社。市場系パッケージの導入を経験したのち、AMLフィルタリングパッケージの導入業務に従事。多数の導入プロジェクトを担当しており、要件定義から開発、保守運用まで一貫して対応可能。幅広い工程を担える柔軟性と豊富な経験を強みとしている。

よくある質問

  1. Q1.

    取引先のスクリーニング機能を開発したいと考えていますが、知見がありません。初歩的な段階からサポートしてもらえますか?

    可能です。画面設計・開発などの小規模対応から、要件定義や設計支援、クラウド環境を活用した構成のご提案まで、お客様のスキルや体制に応じて柔軟にサポートします。「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。

  2. Q2.

    「株式会社◯◯」と「株式会社△△」のように、似ていない名称が類似と判定されることはありますか?

    はい、例えば「株式会社」のような一般的な単語が一致しているだけで、スコアが高く出てしまうことがあります。そのため、当社では「株式会社」「ホールディングス」など、比較効果が薄い単語をあらかじめ除外することを推奨しています。

    この処理はKerux本体ではなく、照合前に行う前処理として実施します。データ内容やご要望に応じて、適切な加工方法をご提案可能ですので、お気軽にご相談ください。

  3. Q3.

    類似度の計算方法はどのような仕組みですか?

    Keruxでは、文字列同士の違いをスコア化する「文字列類似度アルゴリズム」が複数組み込まれています。

    例えば、「1文字違い」「文字の入れ替わり」「英語の発音が似ている」といったケースにも対応可能です。また、お客様の目的や精度要件に応じて、使うアルゴリズムの調整も可能です。

  4. Q4.

    運用中にアップデートが必要になることはありますか?費用や作業は発生しますか?

    プロダクトの利用環境やお客様のポリシーによっても大きく変わりますが、基本的には、アップデートは不要でそのまま使い続けることが可能です。

お打ち合わせでは機能詳細などについてお話しできます。
ライセンスのお試しも可能です。

他にも費用やシステム組み込み目安の期間・工数などもご相談いただけます。

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