リスク対策

リスクスコアリングの仕組みを構築。リスクの定量評価・格付判断が可能に

業種
情報・通信業
企業形態
法人
相談部署
情報サービス部
従業員数
1,000~5,000人
実施期間
2024年11月〜2024年12月
予算
2,000~5,000万円
リスクスコアリングの仕組みを構築。リスクの定量評価・格付判断が可能に
相談背景
  • リスクを数値で評価する仕組みがなく、アプローチ方法も検討がついていない
  • 独自データやオープンデータはあるが、格付ロジックの設計方法が分からない
提案内容
  • 公的オープンデータに基づいた仮格付ロジックを確立
  • イロレーティングと生成AIを活用した独自リスクスコアリングロジックの設計
  • リスク格付の閾値ルールと更新可能なシステム運用設計を支援
結果
  • 公的オープンデータに基づいた仮格付ロジックを確立
  • AI調査とイロレーティングを組み合わせた「リスクの定量化」手法を開発
  • 格付結果の導出ロジックを構築し、サービス利用者による調整が可能に
  • 将来的な制度改定やデータ更新にも対応できる更新手法を設計

相談背景 リスクを定量評価したいが、手法や設計の道筋が見えない

お客様は、国内外の取引先の多面的なリスク把握・監視ソリューションを提供しており、その大規模なアップデートを計画していました。その一環として検討していたのが、対象企業のリスク評価に使用可能な項目の値からリスクスコアを自動算出し、そのスコアに応じたリスク仮格付を行う新機能の実装です。

しかし、このリスク仮格付モデルは前例がない取り組みであり、どのように数理的にアプローチし、ロジックを構築すればよいか手探りの状態でした。こうした状況を踏まえ、リネアは以下の提案を行いました。

  • イロレーティングと生成AIを活用した独自リスクスコアリングロジックの設計
  • リスク格付の閾値ルールと更新可能なシステム運用設計を支援

実施内容 客観的データに基づくスコアリングと格付判定ロジックを構築

上記要望を受け、以下のステップで課題解決を支援しました。

ステップ1:対象サービスの特性把握と類似事例の調査

まずは、想定されているサービス内容やリスク格付の仕様を把握し、参考となる国内外の類似事例を調査・分析しました。

ステップ2:スコアリングロジックの検討と分析方針決定

調査・分析結果を基に、リスク項目ごとのスコア基準を数理的なアプローチにより検討しました。「リスク」を定量化する仕組みとして、生成AIによるリスク情報の調査を自動化。加えて、対戦成績の強さを数値化する「イロレーティング」手法を応用した評価モデルを考案・採用しました。

ステップ3:スコアリングに利用可能な公的データ収集・評価

賄賂・汚職、AML/CFT、人権などの各リスク項目に対し、公的機関や調査機関の指標、事例数などを収集し、リスク量を定量化。その結果を基に、リスク項目ごとの既存規則の見直しも提言しました。

ステップ4:イロレーティング手法の応用とリスクスコアの算出

収集したデータを基に、各リスク項目に対してスコアを付与。異なる根拠を持つリスク項目を比較評価できるよう、イロレーティングに基づいた手法を用いてスコアを算出しました。

ステップ5:格付判定の閾値設計

各リスク項目のスコア合計と格付の対応関係を整理し、実際の組み合わせパターンの分布を基に、リスクの高低を判定する閾値ルールを設定しました。これにより、利用者が判断しやすい格付結果の提示が可能となりました。

結果 公的データに基づいた定量的なリスク評価を実現。実用レベルの格付判断が可能に

仮格付ロジックの構築に加え、スコアリングから格付判断、更新手法までを一貫して整備したことで、リスクの定量評価が可能となりました。これにより、運用現場での格付提示や判断基準の精緻化が進み、リスク管理業務の信頼性向上と業務効率の改善が期待されています。

  • 公的オープンデータに基づいた仮格付ロジックを確立
  • AI調査とイロレーティングを組み合わせた「リスクの定量化」手法を開発
  • 格付結果の導出ロジックを構築し、サービス利用者による調整が可能に
  • 将来的な制度改定やデータ更新にも対応できる更新手法を設計

このプロジェクトを担当したメンバー

大古田 俊介

先端数理技術戦略部 部長 / 博士(理学)

大古田 俊介

大阪大学大学院 理学研究科を修了後、東京工業大学理工学研究科 日本学術振興会特別研究員を経て株式会社リネアに入社。2015年からRudimentsの企画・開発に従事し、金融機関向けのVaR計算やCVA・DVA評価ツールの開発、モニタリング業務高度化のためのAIシステム開発など、多数のプロジェクトでPMを務める。

林 将央

先端数理技術戦略部 シニアアナリスト / 博士(理学) 

林 将央

東京大学大学院理学系研究科天文学専攻を修了後、国立天文台で特任助教として研究に従事。株式会社リネア入社後は、データアナリスト・エンジニアとして、Rudimentsの導入・開発・顧客提案に携わる。金融機関の債券管理システムや入出金データ分析、大手製造業のAIアルゴリズム開発など、多様なプロジェクトで実績を持つ。近年は生成AIの業務活用に関する企画にも取り組んでいる。

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