SoDA

データ分析×AIで検知シナリオを改善。不要アラート平均30%削減、検知率1.5倍に

業種
金融機関
企業形態
法人
相談部署
AML対策部門
従業員数
1,000~5,000人
実施期間
2022年12月〜2023年6月
予算
~1,000万円
データ分析×AIで検知シナリオを改善。不要アラート平均30%削減、検知率1.5倍に
相談背景
  • 金融庁からの要請により、データ分析に基づいたAML対策の高度化が求められていた
  • 取引データは蓄積しているが、活用の方向性を検討している段階だった
  • 社内のリソース不足などにより、データ分析や分析結果の活用には十分に取り組めていない
  • 検知率(※1)を上げたいが、検知シナリオ(※2)見直しの方向性が掴めていない
提案内容
  • 取引データの分析結果に基づいた既存検知シナリオの見直し
  • 担当者がルール化できなかった事例を抽出できる新たな検知シナリオの提案
  • 取引モニタリング業務での検知率の向上
  • 疑わしい取引の抽出や、目視判定を支援するAIモデルの利用検討
結果
  • 9つの検知シナリオに対し、ウタトリ(※3)対象事例90%以上を維持しつつ、不要アラートを最大約60%削減する改善案を提案
  • 不要な検知アラートを平均約30%削減した結果、疑わしい取引の検知率は約1.5倍向上
  • これまで手動で確認していた事例の新規検知シナリオの提示
  • データ分析に基づいた高リスク顧客の特性把握も可能に
※1 検知率:検知シナリオで検知したアラート件数に対する、 疑わしい取引として届け出た件数の割合
※2 検知シナリオ:預金口座取引のうち、疑わしい取引に該当する可能性のある取引を抽出する条件
※3 ウタトリ:警察庁への「疑わしい取引の届出」報告書あるいは報告する行為のこと

相談背景 AMLモニタリング業務において、取引データ分析に基づく検知シナリオの改善に十分取り組めていない

金融庁からの要請により、データ分析に基づいたAML対策の高度化が急務であるにも関わらず、社内のリソース不足もあり、十分に取り組めていない状況でした。取引データは蓄積されているものの、どのように活用すべきか検討段階であり、既存の検知シナリオの改善の必要性も強く感じていました。

こうした状況を踏まえ、リネアはSoDAを用いた以下の支援を提案しました。

  • 取引データの分析結果に基づいた既存検知シナリオの見直し
  • 担当者がルール化できなかった事例を抽出できる新たな検知シナリオの提案
  • 取引モニタリング業務での検知率の向上
  • 疑わしい取引の抽出や、目視判定を支援するAIモデルの利用検討

実施内容 データ分析とAIモデルを用いた検知シナリオの改善提案

上記相談を受け、以下のステップで課題解決への取り組みを支援しました。

ステップ1:課題の洗い出しと分析テーマの選定

AML業務における現状のヒアリング内容や過去の分析支援の知見を基に、分析テーマを約20項目に整理。実データの簡易分析結果と行内の実務担当者による評価の両面から絞り込み、実務適用可能性の高いテーマの選定を行いました。

ステップ2:テーマごとの分析方針の策定

選定した各テーマに対し、統計分析・検知シナリオの解析・AI予測モデル構築など、適切なアプローチを選択。取引データ、過去の検知事例、疑わしい取引の報告記録などを用いて、システムが検知したアラートの発生傾向と担当者による判定結果との関係性を分析するための方針を策定しました。

ステップ3:短期サイクルでの実証分析とフィードバック

個別テーマに対して早期に実務適用の可否を見極めるため、短期サイクルで実証分析とフィードバックを実施。 分析結果をお客様と共有し、検知シナリオごとの効果やAI予測モデルの出力傾向について、ディスカッションを重ねながら現場への適合性を検討・評価しました。

ステップ4:効果が見込まれたテーマの深掘り・改善策の提案

一定の有効性が見込まれた検知シナリオについて、条件追加による精度向上などを検討していきます。また、新規検知シナリオや、AIスコアの解釈を基にした既存検知シナリオへの追加条件など、実運用を見据えた改善策を提案しました。

ステップ5:本番環境での試験運用と実用性評価

一部の改善提案については、お客様の本番環境で試験的に運用を実施。実施結果を取得後、アラート件数の増減や検知率の変化などの観点から改善策の評価を行い、実運用での有効性を確認しました。

結果 検知シナリオを改善。不要な検知アラートを約30%削減し、検知率約1.5倍向上を実現

本プロジェクトでは、実際の取引データの分析結果を基に、既存の検知シナリオに対する改善案や、検知シナリオの新たな作成手法を提示しました。AIモデルを活用した検知シナリオ改善による絞り込みについても一定の実用性が確認され、検知シナリオベースのAMLモニタリングシステムの検知精度向上と運用業務効率化の両立に寄与しました。

  • 9つの検知シナリオに対し、ウタトリ対象事例90%以上を維持しつつ、不要アラートを最大約60%削減する改善案を提案
  • 改善案では検知対象外となったウタトリ事例については、別途検知シナリオを追加して対応
  • 不要な検知アラートを平均約30%削減した結果、疑わしい取引の検知率は約1.5倍向上
  • これまで手動で確認していた事例の新規検知シナリオの提示
  • データ分析に基づいた高リスク顧客の特性把握も可能に

このプロジェクトを担当したメンバー

志津 寬樹

金融&データサイエンス事業部 事業部長

志津 寬樹

株式会社リネアに入社後、金融&データサイエンス事業部 事業部長として、2つの部署を統括。市場系パッケージの導入に長年携わり、豊富な実務経験と専門知識を有する。チーム内外との円滑なコミュニケーションを通じて、多様なプロジェクトをまとめ、現場と経営をつなぐハブとしての役割も担っている。

大古田 俊介

先端数理技術戦略部 部長 / 博士(理学)

大古田 俊介

大阪大学大学院 理学研究科を修了後、東京工業大学理工学研究科 日本学術振興会特別研究員を経て株式会社リネアに入社。2015年からRudimentsの企画・開発に従事し、金融機関向けのVaR計算やCVA・DVA評価ツールの開発、モニタリング業務高度化のためのAIシステム開発など、多数のプロジェクトでPMを務める。

松雪 敬寛

先端数理技術戦略部 シニアアナリスト / 博士(理学)

松雪 敬寛

東京工業大学大学院で数学の博士号を取得後、東京工業大学・東京大学で研究員を務め、株式会社リネアに入社。現在は先端数理技術戦略部の開発リードエンジニアとして、金融デリバティブの数値検証や、入出金データを用いた不正検知AIの分析・ツール開発に従事。LIBOR廃止検証やCVA・DVA関連の開発案件にも携わり、高度な数学的知見を活かしたモデル構築と検証業務を担っている。

この事例の関連プロダクト

  • SoDA

    AMLモニタリング高度化支援サービスです。スポット分析サービスとウェブサービスを用意しており、ウェブサービスではAPI連携による継続運用にも対応しています。

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