まずは相談してみる
「課題の解決方法がわからない」「リネアでできることを知りたい」などお気軽にご相談ください。

宿泊や宴会サービスを提供するお客様は、コロナ禍でも安全に宴会を実施するための方策を模索していました。しかし、実際の会場環境で人からの飛沫がどのように拡散するか、またマスクやパーティションの設置によりどの程度の効果があるのかといった点は、十分な検証が難しい状況でした。
こうした背景から、感染リスクを数量的に把握し、現実的かつ効果的な対策の設計・判断に役立てたいといった、以下のような要望をいただきました。
上記要望を受け、以下のステップで課題解決を支援しました。
解析対象とする宴会場の空間を選定し、実際の運用に即した人員配置やテーブルレイアウトを設定しました。感染リスクに影響する構造的要素を整理し、現実的なシナリオを構築するための条件を整えました。
宴会場の図面データから3Dメッシュデータを作成し、シミュレーションのための空間情報を整備しました。また、空調設備の稼働状況や風量データを基に、空気の流れに関する境界条件を設定。実際の換気環境を再現するための準備を行いました。
実解析ではスーパーコンピューターを用いて、流体解析ソフトウェアによるシミュレーションを実施。飛沫やエアロゾルの動きを可視化し、時間とともにどのように拡散するかを解析しました。あわせて、解析結果に基づき、統計的手法を用いた感染リスクの評価も行いました。
得られた流体解析の結果を基に、空間内での飛沫拡散の様子を可視化。さらに、リスクの高いエリアを一目で把握できるよう、感染リスクの分布を示すリスクマップを作成しました。これにより、対策の有無による効果の違いが明確になりました。
最後に、シミュレーション結果やリスク評価の内容をまとめ、報告書を提出しました。報告内容には、実際の宴会運営における対策検討に活用できるように、感染リスクの高いエリアを一目で把握するためのリスクマップなどが含まれており、会場設営・設計時のレイアウト判断に使用されました。
流体解析を用いたシミュレーションとリスク分析を組み合わせることで、対象空間に応じたリスク特性と対策の有効性が評価できるようになりました。また、対策の有無によるリスクの差異も視覚的・数値的に把握可能となり、宴席開催に対する経営判断や現場への説明などに活用されました。
アプリケーション開発部 HPCエンジニア
兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科シミュレーション学専攻を修了後、プラント設計業務に従事。株式会社リネア入社後は、数値シミュレーションの専門性を活かし、スーパーコンピューター「富岳」を用いた飛沫シミュレーションや人流シミュレーションのプロジェクトに携わる。実空間の現象を再現・分析する高度な数値シミュレーション技術を強みとしている。
データ分析とAI活用でリスクを予測し、不正検知・財務リスク評価など、お客様のリスク対策を支援します。
お客様向けの詳細事例や概算費用は個別にご案内可能です。お気軽にお問い合わせください。