シミュレーション / リスク対策

感染リスクを可視化し、宴会場の安全対策を支援

業種
ホテル業
企業形態
法人
相談部署
企画部
従業員数
1,500~2,000人
実施期間
2022年12月~2023年3月
感染リスクを可視化し、宴会場の安全対策を支援
相談背景
  • 宴会サービスを再開するにあたり、人からどのように飛沫が拡散しているのか良く分からない
  • 感染リスク対策としてのマスクやパーティションの有効性評価が難しい
お客様の要望
  • 宴会場環境を再現した仮想環境でのスーパーコンピュータを用いたシミュレーションの実施
  • シミュレーション結果を用いた、感染リスクの空間分布の可視化
  • 宴会時におけるマスクやパーティションの感染対策効果検証
結果
  • スーパーコンピューターを用いた流体解析により、飛沫拡散シミュレートを実現
  • 感染対策を含むシミュレーション結果を可視化した、感染リスクマップを構築
  • 数量的な根拠に基づき、現場での感染対策計画が立てられるようになった
  • 社会的緊急度が高かったが、依頼を受けてからわずか3カ月で実装・成果提供

相談背景 宴会場における感染対策の効果がよく分からない

宿泊や宴会サービスを提供するお客様は、コロナ禍でも安全に宴会を実施するための方策を模索していました。しかし、実際の会場環境で人からの飛沫がどのように拡散するか、またマスクやパーティションの設置によりどの程度の効果があるのかといった点は、十分な検証が難しい状況でした。

こうした背景から、感染リスクを数量的に把握し、現実的かつ効果的な対策の設計・判断に役立てたいといった、以下のような要望をいただきました。

  • 宴会場環境を再現した仮想環境でのシミュレーションの実施
  • シミュレーション結果を用いた、感染リスクの分析と分布の可視化
  • 宴会時におけるマスクやパーティションの感染対策効果検証

実施内容 流体解析によるリスク可視化と、対策の効果検証

上記要望を受け、以下のステップで課題解決を支援しました。

ステップ1:シミュレーションのシナリオ設計

解析対象とする宴会場の空間を選定し、実際の運用に即した人員配置やテーブルレイアウトを設定しました。感染リスクに影響する構造的要素を整理し、現実的なシナリオを構築するための条件を整えました。

ステップ2:シミュレーション対象空間の再現

宴会場の図面データから3Dメッシュデータを作成し、シミュレーションのための空間情報を整備しました。また、空調設備の稼働状況や風量データを基に、空気の流れに関する境界条件を設定。実際の換気環境を再現するための準備を行いました。

ステップ3:流体解析の実施と感染リスクの評価

実解析ではスーパーコンピューターを用いて、流体解析ソフトウェアによるシミュレーションを実施。飛沫やエアロゾルの動きを可視化し、時間とともにどのように拡散するかを解析しました。あわせて、解析結果に基づき、統計的手法を用いた感染リスクの評価も行いました。

ステップ4:飛沫拡散挙動の可視化とリスクマップの作成

得られた流体解析の結果を基に、空間内での飛沫拡散の様子を可視化。さらに、リスクの高いエリアを一目で把握できるよう、感染リスクの分布を示すリスクマップを作成しました。これにより、対策の有無による効果の違いが明確になりました。

ステップ5:検証結果の整理と報告書の提出

最後に、シミュレーション結果やリスク評価の内容をまとめ、報告書を提出しました。報告内容には、実際の宴会運営における対策検討に活用できるように、感染リスクの高いエリアを一目で把握するためのリスクマップなどが含まれており、会場設営・設計時のレイアウト判断に使用されました。

検証結果
  • 宴会場の換気条件下での感染リスクは、感染者周囲に限定され、室内全体で高まることはない
  • 歓談用テーブルの配置には、参加者間の距離の確保と飛沫の拡散範囲抑制に効果がある
  • 上記に加え、マスク使用やパーティションの設置により、感染リスクが大きく低減される

結果 感染リスク評価により、現場の対策判断を後押し

流体解析を用いたシミュレーションとリスク分析を組み合わせることで、対象空間に応じたリスク特性と対策の有効性が評価できるようになりました。また、対策の有無によるリスクの差異も視覚的・数値的に把握可能となり、宴席開催に対する経営判断や現場への説明などに活用されました。

  • スーパーコンピューターを用いた流体解析により、飛沫の拡散挙動をシミュレーション
  • 感染対策を含むシミュレーション結果を可視化した、感染リスクマップを構築
  • 数値データに基づくリスク判断により、現場での対策計画立案を支援
  • 社会的緊急性の高い状況下で、依頼を受けてからわずか3カ月で実装・成果提供

このプロジェクトを担当したメンバー

溝内 健太郎

アプリケーション開発部 HPCエンジニア

溝内 健太郎

兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科シミュレーション学専攻を修了後、プラント設計業務に従事。株式会社リネア入社後は、数値シミュレーションの専門性を活かし、スーパーコンピューター「富岳」を用いた飛沫シミュレーションや人流シミュレーションのプロジェクトに携わる。実空間の現象を再現・分析する高度な数値シミュレーション技術を強みとしている。

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