Rudiments

大手銀行のリスク評価基盤を構築し、既存システムの再現と高速処理を両立

業種
金融機関
企業形態
法人
相談部署
市場部門
実施期間
2023年4月~2025年5月
大手銀行のリスク評価基盤を構築し、既存システムの再現と高速処理を両立
相談背景
  • 国内債券管理システムの更改にあたり、同等精度のリスク評価機能を新システムにも組み込みたい
  • 債券・短期資金取引(現先・レポなど)のリスク評価ロジックの再構築・実装が難しい
提案内容
  • 新システムへのRudimentsの導入で以下を提案
  • 既存システムのリスク評価ロジックの解析・特定
  • 対応評価モデル選定と各種パラメータの設定
  • 新システムとの連携可能な計算基盤の構築
結果
  • 既存システムの評価結果を、誤差0.000001%以下で新システム内で再現
  • 既存システムで数時間かかっていた、イールドカーブの構築から最大2,000銘柄の債券の理論時価算出および感応度評価までの計算処理を12分以内で実現
  • データ量や計算負荷に応じて自動スケールするサーバーレス計算基盤により、効率的なリソース管理を実現

相談背景 新システム上に評価ロジックを再現したいが、仕様が不明瞭だった

大手金融機関であるお客様は、債券管理システムの更改にあたり、現行システムで用いていたリスク評価ロジックを新システムでも再現する必要がありました。しかし、そのロジックの一部は明文化されておらず、出力結果を基にロジックを読み取らなければならない状況でした。

こうした状況を踏まえ、リネアはRudimentsの導入を提案しました。

  • 現行システムに含まれる評価ロジックの解析・特定
  • 対応評価モデル選定と各種パラメータの設定
  • 新システムとの連携可能な計算基盤の構築

実施内容 評価ロジックの再現と業務スケールに対応する計算基盤を構築

上記課題の解決のために、以下のステップでRudimentsを導入しました。

ステップ1:評価ロジックの数値検証と仕様把握

まず、現行システムで出力されていた評価結果を基に、Rudimentsでの再現性を段階的に検証。ロジックの動作パターンを分析し、数値差異の傾向を評価することで、現行ロジックの構造を把握しました。

ステップ2:債券および短期資金取引(現先・レポなど)の評価モデルの選定~計算フローの設計

Rudiments内で使用する評価モデルや、アウトプット対象(BPVやデュレーションなど)を決定。イールドカーブの生成から、理論時価や感応度(例:デュレーション)の評価までを含めた一連の計算フローを設計しました。

ステップ3:クラウド環境でのサーバーレス計算基盤を構築

クラウド上で、データ量や評価対象銘柄の増減に応じて自動スケールするサーバーレス構成を設計・構築。効率的なリソース管理を実現しました。

結果 既存ロジックを再現し、債券評価の処理効率を大幅に向上

Rudimentsによって、既存システムの評価結果を0.000001%以下というほぼ誤差のない形で再現しつつ、将来の業務スケールに耐えうる柔軟な計算基盤を構築しました。評価の信頼性と運用効率の両立により、システム更改後も安定したリスク評価基盤を実現できました。

  • 既存システムの評価結果を、誤差0.000001%以下で新システム内で再現
  • 既存システムで数時間かかっていた、イールドカーブの構築から最大2,000銘柄の債券の理論時価算出および感応度評価までの計算処理を12分以内で実現
  • データ量や計算負荷に応じて自動スケールするサーバーレス計算基盤により、効率的なリソース管理を実現

このプロジェクトを担当したメンバー

志津 寬樹

金融&データサイエンス事業部 事業部長

志津 寬樹

株式会社リネアに入社後、金融&データサイエンス事業部 事業部長として、2つの部署を統括。市場系パッケージの導入に長年携わり、豊富な実務経験と専門知識を有する。チーム内外との円滑なコミュニケーションを通じて、多様なプロジェクトをまとめ、現場と経営をつなぐハブとしての役割も担っている。

大古田 俊介

先端数理技術戦略部 部長 / 博士(理学)

大古田 俊介

大阪大学大学院 理学研究科を修了後、東京工業大学理工学研究科 日本学術振興会特別研究員を経て株式会社リネアに入社。2015年からRudimentsの企画・開発に従事し、金融機関向けのVaR計算やCVA・DVA評価ツールの開発、モニタリング業務高度化のためのAIシステム開発など、多数のプロジェクトでPMを務める。

松雪 敬寛

先端数理技術戦略部 シニアアナリスト / 博士(理学)

松雪 敬寛

東京工業大学大学院で数学の博士号を取得後、東京工業大学・東京大学で研究員を務め、株式会社リネアに入社。現在は先端数理技術戦略部の開発リードエンジニアとして、金融デリバティブの数値検証や、入出金データを用いた不正検知AIの分析・ツール開発に従事。LIBOR廃止検証やCVA・DVA関連の開発案件にも携わり、高度な数学的知見を活かしたモデル構築と検証業務を担っている。

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