Pursuer®

あいまい照合でリスク見逃しを防止。AMLフィルタリング業務を統一、監査対応への信頼性も確保

業種
金融機関
企業形態
法人
相談部署
システム企画部門
従業員数
1,000~1,500人
実施期間
2013年1月~2013年6月※2025年現在も継続利用中
予算
1,000~1,500万円
あいまい照合でリスク見逃しを防止。AMLフィルタリング業務を統一、監査対応への信頼性も確保
相談背景
  • AML対応時に、Excel上での検索など簡易的な照合しかできない
  • ウォッチリストが部署ごとに保持されており一元管理がなされていない
  • 窓口担当者や本部側承認者などのAML業務負荷が高い
  • 当局監査に備え、体制強化を図りたい
提案内容
  • AMLフィルタリングシステム「Pursuer®」の導入で以下を提案
  • 公的・独自の複数ウォッチリストの統合管理
  • あいまい照合を活用した全量スクリーニング機能の実装
  • 高速なオンライン照合
  • ワークフローに応じて自動化されたウォッチリスト選択
結果
  • あいまい照合アルゴリズムによる照合・抽出が可能に
  • 複合条件による照合結果の高度な絞り込みを実現
  • 夜間バッチ処理導入により、日中の対応工数が削減
  • 本部や営業店でのAMLフィルタリング業務負荷が大幅に軽減
  • 当局による監督・検査時に、明確な照合基準や判定根拠が説明可能に
  • 安定性や性能の面で高い評価をいただき、2025年現在も継続して稼働中

相談背景 求められるマネーロンダリング対策が増加し続け、手作業中心の対応では限界に

金融当局から金融機関が求められるマネーロンダリング対策は年々厳格化しつつあります。一方で、お客様の現場ではExcelでのリスト管理属人的な照合対応に依存した運用が続いており、対応速度面などに関しても課題を抱えていました。

さらに、ウォッチリストが部署ごとに分散して管理されていたことも、AMLフィルタリング業務の煩雑化や見落としリスクにつながっており、システム対応による抜本的な業務改善が急務となっていました。

こうした状況を踏まえ、リネアはPursuer®の導入を提案しました。

  • 公的・独自の複数ウォッチリストの統合管理
  • CIFデータとウォッチリストの全量を対象にした一括スクリーニング
  • 利用可能な複数の照合アルゴリズム
  • 高速なオンライン照合
  • ワークフローに応じて自動化されたウォッチリスト選択

実施内容 入念なヒアリングに基づき、実務に根ざした設計・導入を実施

上記相談を受け、以下のステップでPursuer®を導入しました。

ステップ1:要件定義

現行業務の課題についてヒアリングを実施し、各部署で照合が必要とされる業務や対象となるウォッチリストを洗い出しました。あわせて営業店情報や照合事由、帳票レイアウトなど、データベース化に必要なマスターデータを整理し、Pursuer®に取り込む要件を明確化しました。

対応内容
  • 対象業務の洗い出しと突合対象ウォッチリストの整理
  • マスターデータの整理(営業店情報、照合事由、帳票項目、権限など)
  • パフォーマンス要件の確認
  • 当局対応時に求められる要件確認(照合ロジック、証跡の取扱い、リスト反映タイミングなど)

ステップ2:各種設計

顧客情報データやウォッチリストの形式を確認し、Pursuer®と連携するためのインターフェースを設計しました。また、照合対象データ項目ごとに使用するアルゴリズムと閾値を定め、バッチ処理のスケジュール設計やバックアップ方針についても決定しました。

対応内容
  • 顧客情報ファイルのデータ形式確認、基幹システムとのインターフェース設計
  • 各種ウォッチリストのデータ形式確認、取り込み処理の設計
  • 照合対象データ項目ごとの照合アルゴリズムと閾値の設定
  • 想定照合計算量の試算によるサーバー性能見積もり
  • バッチ処理、バックアップ手段・頻度などの設計

ステップ3:追加開発・カスタマイズ

Pursuer®はパッケージ製品であり、AMLフィルタリングで必要とされる一般的な機能が含まれています。本プロジェクトでは、追加の開発・カスタマイズとして、独自形式のウォッチリストのインターフェース実装と、アラート判定のための複合照合条件処理の変更を行いました。

対応内容
  • 独自ウォッチリストのインターフェースプログラム開発・実装
  • アラート判定のための複合照合条件処理部分のプログラム変更

ステップ4:総合試験とチューニング

本番データを用いた検証を行い、スクリーニングの処理時間と業務負荷のバランスを見ながら閾値の調整を実施。顧客情報データや従業員リストの転送経路など、運用時の安全性や実効性もあわせて確認しました。

対応内容
  • 本番環境への導入と受入テストの実施
  • 本番データを用いたスクリーニング結果の分析
  • 照合範囲と業務負荷のバランスを考慮して閾値設定を最適化

ステップ5:ユーザートレーニングと運用開始時の立ち合い

本部・営業店向けにマニュアルを用いた操作トレーニングを実施。現行業務との並行運用期間を設け、スムーズな移行を支援しました。最終的にはPursuer®の本番稼働にも立ち会い、導入後の定着までを一貫してフォローしています。

結果 AMLフィルタリング業務の効率化・負荷軽減を実現。監査対応への信頼性も確保

Pursuer®の導入により、手作業を多く含んでいたAMLフィルタリング業務を、あいまい性も考慮した全件照合にも対応できる仕組みへと刷新。照合処理のシステム化・高速化により、現場業務の負担が大幅に軽減されました。また、照合処理のロジックや判定基準が明確になったことで、当局の監督・検査などへの説明が可能な体制が整備されました。

  • あいまい照合アルゴリズムによる照合・抽出が可能に
  • 複合条件による照合結果の高度な絞り込みを実現
  • 夜間バッチ処理導入により、日中の対応工数が削減
  • 本部や営業店でのAMLフィルタリング業務負荷が大幅に軽減
  • 当局監督・検査時に、明確な照合基準や判定根拠が説明可能に
  • 安定性や性能面で高い評価をいただき、2025年現在も継続して稼働中

このプロジェクトを担当したメンバー

渡邊 英樹

デジタルソリューション&コンサルティング事業部 事業部長

渡邊 英樹

会社全体の強みを最大限に引き出すため、部門やプロジェクトを横断した全体最適の視点で業務に取り組んでいる。各部のリソースや専門性を効果的に組み合わせることで、組織としての価値提供力を高めることを重視。特に情報セキュリティ対策に注力しており、社内体制の整備や運用管理を通じて、安心してサービスを提供できる環境づくりを推進している。

臼井 伸吾

フィナンシャルエンジニアリング部 部長

臼井 伸吾

株式会社リネアに入社以来、長年にわたり金融市場系パッケージの導入に携わってきた市場系のスペシャリスト。AMLフィルタリング分野では多数の導入プロジェクトを担当し、全国の金融機関への展開を支援。高い専門性に加え、現場との調整力にも優れ、プロジェクト全体を円滑に進行させる体制づくりを支えている。

金澤 友紀子

AMLソリューション開発部 部長

金澤 友紀子

株式会社リネアに入社以来、AMLフィルタリングパッケージの導入や、ネームスクリーニングライブラリ「Kerux」の導入支援など、要件定義から設計・実装・運用まで幅広い工程を担当。上流工程から下流工程まで、システム導入の全体プロセスを円滑に推進することを得意とする。業務フローと技術要素の双方を理解したうえで、プロジェクトを着実に前進させる実行力を強みとしている。

寺島 拓

AMLソリューション開発部 システムエンジニア / 博士(科学)

寺島 拓

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻を修了後、株式会社リネアに入社。市場系パッケージの導入を経験したのち、AMLフィルタリングパッケージの導入業務に従事。多数の導入プロジェクトを担当しており、要件定義から開発、保守運用まで一貫して対応可能。幅広い工程を担える柔軟性と豊富な経験を強みとしている。

この事例の関連プロダクト

  • Pursuer®

    金融機関向けのマルチフィルタリングシステムです。多様なリストを一元管理して、顧客情報のスクリーニング業務を効率化します。

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